◆訪中した日本人ビジネスマン「注意のしようがない」
北京の玄関口、北京首都空港。1日に国際線で到着した日本人や中国人ら四十数人に記者が尋ねたが、実際に調査を受けたと答える人はいなかった。ただ、羽田空港から出張で来た横浜市の会社員男性(36)は1週間ほど前、勤務先から新規定施行の注意喚起を受けた。「スマートフォンもパソコンも持ってこないわけにいかず、注意のしようがない」と困惑気味に話した。 1日はスパイ行為の定義拡大を柱とした「反スパイ法」の改正法施行から1年の節目にあたる。今回の新規定は同法に基づき、取り締まりの執行手続きを具体的に定めたものだ。 「国家安全機関は個人や組織の電子機器の調査を行う」と明記され、条件として責任者の承認と通知書の作成を必要とする。ただ、緊急時は警察証を提示すれば「その場で調査可能」との文言もあり、現場の裁量が拡大しかねないと懸念する声も出ている。◆やりとり調べられ「正当な理由はあるのか」不満の声
中国で新たな規定が施行された1日、北京の北京首都空港に到着した入国者ら=河北彬光撮影
中国の交流サイト(SNS)には1日の施行を前にして、既に一部の空港で出入国時にスマホを調べられたとの投稿が相次いだ。多くは微信(ウィーチャット)などSNSのやりとりを見られたという内容で「正当な理由はあるのか」と不満の声も。「事前に自分でスマホやパソコンの中身のチェックを」と注意を促すサイトまで登場した。 こうした懸念に、中国当局は真っ向から反論する。中国共産党系の環球時報(電子版)は、他国にも同様の規定があるとして「一部の海外の敵対勢力がデマをでっち上げている」と主張。スパイ対策に関係のない状況でむやみに調査することはないと強調した。取り締まりを担う情報機関、国家安全省も1日、微信の公式アカウントに「国の安全を守る『鋼の長城』をより強固にする」と投稿した。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。