【ワシントン=浅井俊典】米民主党の熱心な支持者として知られる人気俳優のジョージ・クルーニーさんが10日、米紙への寄稿で、バイデン大統領(81)に大統領選からの撤退を求めた。バイデン氏を支えてきた民主党重鎮のペロシ元下院議長も、テレビで再考を促したともとれる内容を語り、上院議員からも撤退要求があった。有力者の相次ぐ選挙戦継続への懸念表明は波紋を広げそうだ。

◆「愛しているが、勝てない」

 クルーニーさんは10日付のニューヨーク・タイムズに「バイデン氏を愛している。しかし、新しい候補が必要だ」と題して寄稿。クルーニーさんは6月にバイデン氏の資金集めの集会をロサンゼルスで開いた。この時のバイデン氏は「4年前のバイデン氏ではなく、(精彩を欠いた)テレビ討論会で目にした姿と同じだった」とした。

バイデン米大統領=2020年

 その上で「これは年齢の問題だ。この大統領では11月の選挙で勝てない」と指摘。「バイデン氏は(前回大統領選の)2020年に民主主義を救った。24年も再び救ってほしい」と自ら身を引くよう促した。

◆民主党重鎮も「決断を促している」

 ペロシ氏はMSNBCテレビのインタビューで、司会者からバイデン氏の選挙継続を望むかを問われると、支持を明言せず「選挙戦を続けるかは大統領次第だ。残された時間は少なく、私たちは決断を促している」と語った。撤退を拒むバイデン氏の意思を無視するかのような発言で、CNNテレビは「大統領に考え直すべきだとの明確なシグナルを送った」と報じた。  さらに、東部バーモント州選出のウェルチ上院議員は、ワシントン・ポスト紙への寄稿でバイデン氏に撤退を求めた。民主党の上院議員による公の場での撤退要求は初めて。米ニュースサイト、アクシオスは、民主党の上院トップ、シューマー院内総務がバイデン氏以外の候補擁立の可能性を排除しないと内々に献金者に語ったと伝えた。シューマー氏は声明でバイデン氏支持を改めて示し、報道を打ち消した。  自身に対する包囲網が狭まる中、バイデン氏は10日、ワシントンで労働組合の会合に出席し「2期目は皆さんの力を借りて、さまざまなことを成し遂げたい」と選挙戦継続を強調した。 

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