イスラエル軍は13日、ガザ地区南部のハンユニスに激しい空爆を行い、ガザ地区の保健当局はこの空爆でこれまでに少なくとも90人が死亡し、300人がけがをしたと発表しました。
NHKガザ事務所のカメラマンが撮影した映像には、子どもを含む大勢のけが人が近くの病院に次々と運び込まれる様子が写っています。
この空爆についてイスラエルのネタニヤフ首相は、13日夜、会見を開き、イスラム組織ハマスの軍事部門であるカッサム旅団のムハンマド・デイフ司令官らの殺害を狙ったものだとしつつ、「いまのところ彼らの生死について確証は得られていない」と述べています。
一方、ハマス側は声明で、空爆は避難してきた住民、8万人以上が密集する地域で行われたとした上で「ハマスの指導者をねらったというのは住民の虐殺を隠蔽するための虚偽の主張だ」と非難しています。
イスラエルとハマスの間では、カタールなどを仲介に停戦や人質の解放に向けた交渉が行われていますが、ハマスは「イスラエルが戦争を継続しようとしていることは明らかだ」と強く反発していて、難航している交渉の行方が一段と危ぶまれる事態となっています。
ハンユニスの病院には大勢のけが人
NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが、ハンユニスの病院で撮影した映像には、子どもを含む大勢のけが人が次々に運び込まれる様子が写っています。
遺体の搬送を手伝っていた男性は攻撃の状況について「何が起きたか分からない。何発ものミサイルが市民を攻撃した」と目に涙を浮かべながら話していました。
また、救助活動にあたったという男性は「攻撃されたのは『人道エリア』だ。私たちが救助に向かうと、イスラエル軍は救急車なども攻撃した。救助していた人も複数人、けがをしている」と話していました。
また、映像では、遺体を前に涙を流す子どもの姿や子どもとみられる遺体が入った袋を抱きしめる父親の姿も確認できます。
病院の関係者によりますと、400床あるこの病院では、1200人以上の患者を受け入れていて、さらに、患者の治療のために屋外にテントを張り始めているということです。
病院の看護部長は「ガーゼや包帯など医薬品や医療機器もなく、けが人の命は簡単に失われてしまう。今起きていることは道徳的にも、宗教的にも、法的にも許されない」と話していました。
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