イスラム教シーア派を国教とするイランの各地で16日、同派最大の宗教行事「アシュラ」が行われた。首都テヘランでは、同派の第3代イマーム(指導者)、フセインの殉教にまつわる劇を人々が上演。高さ約10メートルの大型テントを炎上させ、悲しみを表現した。

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 フセインは680年、今のイラク中部のカルバラでウマイヤ朝軍に敗れ、戦死したとされる。この日、テヘラン中心部の交差点では白い大型テントが設けられ、その周りでフセインの殉教を再現した劇が繰り広げられた。

 緑色の衣装に身を包んだフセイン一派に対し、赤や金色の衣装を着たウマイヤ朝側の男たちがむちを振り上げたり、ナイフを振り上げたりする演技をすると、取り囲む聴衆の間から「ヤー・フセイン」と嘆きの声が漏れた。劇が終わると、テントに火がつけられて炎上し、周りの人々から喚声が上がっていた。

 17歳の娘と訪れたテヘランの弁護士アミールさん(52)は「フセインは周りの人々に優しく、殉教の苦しみにも辛抱強く耐えた。その生き様を娘にも学んでもらいたかった」と話していた。(テヘラン=佐藤達弥)

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