【バンコク=藤川大樹】タイの首都バンコク中心部に「他国の市民権やパスポートを取得するサービスを提供する」などとうたう中国語の屋外看板が登場し、タイ国内で騒ぎとなった。アヌティン副首相兼内相は23日、看板の撤去を命じるとともに、このビジネスが違法ではないかなどを調査するよう地元警察に指示。看板は既に撤去された。

◆インドネシア、バヌアツ…65万~324万円

 看板は中国語で、タイ語や英語の併記はなかった。合法的に市民権やパスポートを取得できるとし、インドネシア、バヌアツ、カンボジア、トルコのパスポートの写真と3万~15万人民元(約65万~324万円)の料金が示されていた。東京新聞は看板の電話番号にかけたが、誰も出なかった。

交流サイト(SNS)のフェイスブックに投降された屋外看板の写真。看板は23日に撤去された=投稿者のPai Charudul氏のページから引用

◆看板を出した中国人女性に罰金

 地元メディアなどによると、看板を出したのは中国人女性で、シンガポール人が経営する香港企業から依頼を受け、500米ドル(約7万7000円)を受け取っていた。会社名は知らず、LINE(ライン)で連絡を取り合っていたという。入国管理局は不法就労の罪で女性に罰金を科した。  新たなパスポートで他国への移住を目指す中国人向けとみられる。中国系の犯罪組織につながりのある中国人男性は取材に「中国のパスポートはカンボジアなどのものよりも使い勝手が良い。それにもかかわらず、入手を希望するのは、犯罪歴がある逃亡者たちだろう。彼らは『汚れた服』を洗ってくれる仲介国を必要としている」と語った。 

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