【ワシントン=浅井俊典】米大統領選での再選を断念したバイデン大統領(81)は24日、ホワイトハウスの大統領執務室から国民向けに演説し、「新しい世代にバトンを渡すのが最善の方法だと判断した。それが国を結束させる最も良い道だ」と撤退理由を説明した。その上で、来年1月の任期まで大統領としての職務に全力を尽くす考えを示した。

◆「大統領の肩書よりも重要」

 バイデン氏は「皆さんの大統領を務めることは私の人生の名誉だが、危機にひんしている民主主義を守るのは、どんな肩書よりも重要だ」と強調。共和党のトランプ前大統領(78)の名前は出さなかったが、同氏が大統領に返り咲いた場合の懸念を念頭に置いた発言とみられる。

バイデン米大統領(2022年5月)

 自らが後継に推薦したハリス副大統領(59)については「彼女は経験があり、タフで、有能だ。われわれの国のリーダーだ」と称賛。「私は自らの選択をした。今、選択はあなたたち、米国民にかかっている」と訴えた。

◆穏やかに「威厳に満ちた演説」

 残りの任期で、物価高対策や経済成長に取り組むと表明。北大西洋条約機構(NATO)やアジア太平洋地域の同盟国との結束強化、パレスチナ自治区ガザの戦闘終了に向けた取り組みも進めるとした。  11分間の演説はジル夫人や次男ハンター氏、孫娘ら家族らが見守った。身ぶり手ぶりを交えながら穏やかな口調で国民に語りかけ、AP通信は「威厳に満ちた演説」だったと伝えた。

◆ハリス氏、8月1日にも正式指名

ハリス米副大統領(2022年9月)

 民主党は24日、バイデン氏の撤退表明を受け、早ければ8月1日に党候補選出のオンライン投票を実施し、候補を正式指名すると発表した。出馬を表明しているのはハリス氏のみで、指名獲得は確実な情勢だ。  大統領選では党大会で候補を指名するのが通例だが、中西部オハイオ州の投票用紙に候補の氏名を載せる手続きに間に合わせるため、前倒しした。党大会は19~22日に中西部イリノイ州シカゴで開かれる。 

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