フランスの捜査当局は29日までに、高速鉄道TGVを運行するフランス国鉄(SNCF)の施設に立ち入った疑いで、極左活動家の男を逮捕した。パリ五輪の開会式直前に狙われたTGV路線に対する同時多発的な「破壊行為」との関連について、今後捜査していくとみられる。AFP通信が同日、報じた。

 フランス国鉄(SNCF)や仏メディアによると、25日夜から26日未明、パリと北部リール、南西部ボルドー、東部ストラスブールをそれぞれ結ぶTGVの3路線で、列車の運転士への安全情報の送信などに使うケーブルが燃やされたり切断されたりした。同社は「大規模な攻撃だ」としていた。

 この影響で、TGVが発着するパリ市内の主要駅では利用客が足止めされ、大きな混乱が起きた。SNCFは週末にかけて約80万人に影響が出るとの見通しを示し、警備体制を強化した。

 SNCFの幹部は仏メディアに対し、線路の分岐地点など高速鉄道網を広範囲にマヒさせるために効果的な場所にある設備が狙われたとの見方を示し、検察当局は鉄道網に損害を与えるための組織的な犯罪とみて捜査していた。

 影響が懸念されたパリ五輪の開会式は26日夜、パリ中心部を流れるセーヌ川で予定通り開催された。

 仏メディアは27日、犯行目的を五輪の妨害と示唆する不審なメールがフランスと外国の複数のメディアに届いたと報じた。極左集団との関係をうかがわせる内容で、検察当局は事件との関連を慎重に調べていた。

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