F16戦闘機に乗ったウクライナのゼレンスキー大統領㊧(2023年8月、デンマーク南部)=Ritzau Scanpix・AP

【キーウ=共同】米ブルームバーグ通信は7月31日、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が供与した米国製F16戦闘機の第1陣がウクライナに着いたと報じた。欧米による高レベルの武器支援で、ロシアに航空戦力で大きく後れを取るウクライナにとって待望の新戦力となる。ただ現時点で機数は少なく、早期の局面打開は困難との声も出る。

ロシアのペスコフ大統領報道官は1日、F16はウクライナ軍の「万能薬にならない」と述べ、撃墜されて数が減り、戦線に大きな影響は与えないと主張した。

ロシア軍は2022年のウクライナ侵略以降、広い範囲で制空権を握り、ウクライナ軍に多大な損害を強いてきた。ウクライナの危機感は強く、ゼレンスキー大統領は欧米にF16の早期供与を訴えた。

バイデン米大統領は昨年5月、欧州同盟国による供与や訓練を容認すると表明、米国や欧州でウクライナ人操縦士の訓練が進んだ。F16を実戦投入できれば、ロシア軍の爆撃から人口密集地を守れるなどの利点がある。

ブリンケン米国務長官は7月10日、オランダとデンマークが保有するF16を移送する手続きに入り、夏に運用が始まると明らかにした。報道によると、これまでにオランダ、デンマーク、ベルギー、ノルウェーが計約80機の供与を約束。今夏に6機、年末までに約20機が配備の見通しという。

ゼレンスキー氏は「少なくとも128機が必要」と訴えており、配備の迅速化も課題になる。今回供与されたのはオランダからの6機との情報もある。

一方、ロシアはウクライナに供与されるF16について、全て核兵器を搭載していると見なすと警告した。F16を配備するウクライナ軍基地への攻撃を強めるとみられ、ウクライナはその防衛も迫られることになる。

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