グーグル、インテル、アップル。米カリフォルニア州のシリコンバレー地区には、世界的に名の通ったIT企業が集積する。本社は開放的な空間を意識して設計され、現代アートのオブジェやオープンテラスが配置されている。グーグルにはビーチバレーのコートまである。

現代アート美術館のような雰囲気のグーグル本社は、シリコンバレーの観光名所になっている=鈴木龍司撮影

 ただ、このエリアを取材で訪れた際、きらびやかなIT業界とは落差の大きい光景も目にした。周辺の通りや駐車場にホームレスの姿が目立った。  「この地域も貧富の差が拡大しています。米国社会の光と影ですね」。企業関係者らのツアーをコーディネートしている男性はそう漏らし、「物価が上がり、IT企業勤めでも幹部や技術者以外は家を買うことが難しい」と語った。道端に並ぶキャンピングトレーラーは、金銭的に余裕がない従業員らがマイホームとして使っているそうだ。  格差が広がる同州は治安の悪化も深刻。家賃や税金の負担増を回避するため、南部テキサス州などに拠点を移す企業が相次ぐ。世界の頭脳が集まるシリコンバレーは、ITや人工知能(AI)の先端技術をもってしても解決できない難題に直面している。(鈴木龍司)


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