米国防総省は2日、イスラム組織ハマス最高幹部のハニヤ政治局長の殺害を受けて緊張が高まる中東情勢に対応するため、戦闘機部隊やミサイル防衛能力を持つ巡洋艦や駆逐艦を追加派遣すると発表した。

 同省によると、オースティン国防長官は中東に引き続き空母を配備し続けるため、帰還が予定されているセオドア・ルーズベルト空母打撃群に代わり、エイブラハム・リンカーン空母打撃群の中東派遣も命じた。

 イランやハマスはハニヤ氏の殺害はイスラエルによるものだとして報復を宣言している。国防総省は今回の対応を「イランやその代理勢力による地域的な紛争拡大を緩和するための措置だ」と説明した。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、4月にイランが在シリアの大使館への空爆の報復措置としてイスラエルをドローンとミサイルで攻撃した際には、イランから事前に米国に連絡があったために米軍が追加配備でき、迎撃に成功した。しかし今回は攻撃に備える十分な時間があるかどうかは不明だとしている。国防総省は中東地域で米軍が攻撃される可能性にも備えているという。

イラン当局が20人以上を拘束との報道

 オースティン氏は2日、イスラエルのガラント国防相と電話会談し、米軍の防衛態勢を変更してイスラエルの防衛を支援すると伝えていた。「さらなるエスカレーション(段階的拡大)は避けられないものではなく、緊張緩和はこの地域の全ての国に利益をもたらす」とも述べたという。一方、ガラント氏は会談で「イスラエルと米国の安全保障協力は地域の安全と安定にとって重要だ」と強調した。

 また、同紙は複数のイラン当局者の話として、イラン当局がハニヤ氏の殺害をめぐる「セキュリティー違反」があったと主張し、情報当局の高官や軍関係者、ハニヤ氏の滞在先の従業員ら20人以上を拘束したと報じた。(エルサレム=村上友里、ワシントン=高野遼)

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