オーストラリア代表の24歳、榊原爽選手は母親が日本人で、子どもの頃に暮らした東京で「自転車の格闘技」とも言われるBMXを本格的に始めました。

前回の東京大会で3歳年上の兄・魁さんとともに、第2の祖国・日本でのメダル獲得を目指していましたが、魁さんは大会前のレースで転倒し一時、意識不明の重体となり、競技を諦めざるを得なくなったほか、榊原選手も大会本番でほかの選手と接触して転倒し、担架で搬送される不本意な結果となりました。

それから3年後の今大会、雪辱を目指した榊原選手は、かつて魁さんが着けていたのと同じ背番号「77」を着け、兄の思いも背負って臨みました。

8人が出場した2日の決勝ではスタートから力強く加速しトップに立つと、正確な位置取りでコーナーを回り低い姿勢を保ったままこぶを越えてリードを広げました。

そして34秒231のタイムでそのままトップでフィニッシュすると泣き叫ぶように倒れ込み、喜びの涙を流していました。

榊原選手は表彰式でも感情の高まりを抑えられない様子で、表彰台の上で両手を突き上げて跳びはね、首にかけられた金メダルに口づけをしていました。

そして表彰式が終わるとすぐに、会場で応援していた魁さんの元に駆け寄り、抱擁を交わして再び涙を流していました。

榊原選手は「東京大会のあと精神的に不安定になり、もう競技は続けられないと考えた時期もあったが、挑戦を諦めたら自分に失望していただろう。私は今も兄の分まで走っているし、今大会、その背番号を着けるのはとても重要なことだった」と話し、きょうだいで獲得した金メダルだったと強調しました。

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