ハリス副大統領(左)とトランプ前大統領(資料写真)
ABC主催の討論会は当初、バイデン大統領(81)とトランプ氏の間で合意していたが、バイデン氏が選挙戦から撤退。トランプ氏は合意をほごにして保守系のFOXニュース主催で開催するよう提案し、ハリス氏は従来の合意に沿って実施するよう求めていた。◆ハリス氏「トランプ氏がついに討論会を受け入れた」
ハリス氏は8日、記者団に「トランプ氏がついに討論会の日程を受け入れたことは喜ばしい」と述べた。トランプ氏はさらに、9月4日にFOX、同25日にNBCテレビがそれぞれ討論会を主催すると表明。ハリス氏は追加の討論会については「話し合うのは構わない」と述べるにとどめた。 全米で生中継される候補者討論会は、どちらの候補が大統領にふさわしいかを有権者が見極める機会となる。バイデン氏とトランプ氏が対決した6月27日の討論会では、バイデン氏が言い間違いを連発するなどして精彩を欠き、高齢不安が再燃。同氏の撤退につながった。◆勢い増すハリス氏に焦り
しかし、バイデン氏が選挙戦を撤退して以来、空気は一変。勢いを増すハリス氏に対し、トランプ氏陣営は焦りの色を隠せない。「討論会は3回やるべきだ」。トランプ氏は会見でこう強調し、ハリス氏が合意するよう圧力をかけた。 ABCテレビ主催の討論会についてトランプ氏は先週、「なくなった」と主張して出席しない考えを示したばかり。急速に注目が高まるハリス氏に対処するため、戦略の練り直しを迫られた格好となった。 暗殺未遂事件で国民の同情を引き寄せたトランプ氏だったが、バイデン氏の異例の撤退からハリス氏の後継指名で流れは一気に民主党に。トランプ氏が副大統領候補に選んだバンス上院議員(40)が出産経験のない女性を中傷していたことが発覚するなど、身内にも足を引っ張られている。 政治サイトのリアル・クリア・ポリティクスによると、8日時点の全米での支持率平均はトランプ氏47.1%、ハリス氏47.6%と、僅差で逆転されている。◆直接攻撃に活路見いだす戦略か
トランプ前大統領(資料写真)
1時間超に及んだ会見でトランプ氏は、ハリス氏を繰り返し批判した。ハリス氏が出馬表明以来、一度も記者会見を開いていないと指摘し「彼女は会見ができるほど賢くない。ヒラリー(クリントン元国務長官)の方がはるかに優れていた」と2016年大統領選で戦ったクリントン氏を引き合いに攻撃。討論会を複数回実施することで、ハリス氏を直接攻撃する機会を増やす戦略とみられる。 これに対しハリス氏の陣営関係者はロイター通信の取材に、トランプ氏寄りの報道で知られるFOXニュース主催の討論会の出席に否定的な見方を示した。その後については、来月10日の討論会でのトランプ氏の出方次第としている。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。