「ものすごく暑いでしょう。水分をしっかり取ってください」。不法移民問題の取材でアメリカ西部アリゾナ州を訪れた際、地元の共和党の幹部からペットボトルの水を差し出された。  日本は記録的な暑さが続いていると聞くが、砂漠地帯も多い同州は最高気温が50度に迫る日もあり、段違いだ。ただ、湿度はかなり低い。「汗はかかず、蒸し暑い日本の夏より過ごしやすい面もある」と感じたが、実は、乾燥によって汗が瞬時に乾いてしまっているだけらしい。幹部から「脱水症状に気づかず、命を落とす観光客がいる」と聞き、ドキッとした。

アリゾナ州で頻繁に見かけた、山火事で黒く焼けた山肌(鈴木龍司撮影)

 アリゾナ州の取材では、本来のテーマの不法移民から脱線し、現地で深刻な水不足や山火事への不安をたびたび聞いた。車での移動中には、火事で黒く焼けた山肌を何度か見かけた。  11月に迫ったアメリカ大統領選に向けて有権者に関心事項を尋ねた世論調査では、経済や物価高、不法移民対策などの回答が上位に並ぶ。地球温暖化対策は将来を見据えた政策で、投票行動には直結しないというイメージを持っていたが、異次元の暑さを体感しながら市民の話を聞いて、認識を改めた。(鈴木龍司) 

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