先月、ハマスの当時の最高幹部が訪問先のイランで殺害されたことを受けてイランはイスラエルによる攻撃だとして報復する構えで、早ければ今週中にも報復する可能性が取り沙汰されています。

同時にイランは「報復はガザ地区の停戦の可能性を妨げない形とタイミングが望ましい」という立場も強調していて、ロイター通信は複数のイラン政府高官の話としてイランがイスラエルを直接攻撃するかはガザ地区での停戦に向けた交渉次第だと伝えています。

ガザ地区をめぐる交渉は停滞が続いていますが、15日から協議の再開が呼びかけられ、イスラエル側は応じる姿勢です。

一方、ハマスの幹部は13日に放送されたアメリカのCBSテレビの取材に応じ、「われわれは交渉に反対しているわけではない」としながらも「ネタニヤフ政権はこれまでの提案を破棄し新たな条件を出したほか、われわれの指導者を暗殺した。このためわれわれは15日の協議には参加しない」と述べました。

ガザ地区の戦闘で地元当局によりますと4万人近くが犠牲となり交渉が再開するかも見通せない中、イスラエルへの報復を宣言するイラン側の出方が注目されています。

ガザ地区 停戦交渉めぐる最近の動き

アメリカ、エジプト、それにカタールは今月8日、ガザ地区をめぐって停滞する交渉の再開に向けて共同声明を発表しました。

声明は「停戦と人質の解放に向けた交渉に結論を出すときがきた」としてイスラエルとイスラム組織ハマスの双方に交渉のテーブルに戻るよう呼びかけています。

そのうえで、交渉の協議は今月15日にカタールの首都ドーハかエジプトの首都カイロで再開し、仲介役として「これまでの提案をもとに、イスラエルとハマスを含む、すべての関係者が受け入れられる形で最終的な提案を行う用意がある」としています。

最終的な提案の内容は明らかになっていませんが、アメリカのバイデン大統領がことし5月31日に発表した3段階からなる停戦や人質解放を含む提案が元になるとしています。

この交渉再開の呼びかけに対し、イスラエル側は今月9日、交渉団を送る意向を示しています。

一方、ハマス側は今月11日に出した声明で「侵略を隠蔽し、人々の虐殺を続ける時間を与えるような新たな提案や交渉を行うのではなく、先にわれわれが合意した案をイスラエル側が履行するよう求める」としていて、今のところ交渉再開には慎重な姿勢です。

ハマスが声明の中で先に合意したとする案は、バイデン大統領がことし5月31日に発表した提案をもとに協議した末に先月2日、ハマス側が承認したものだとしています。

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