ガザでは衛生環境が極端に悪化している=AP

【ニューヨーク=時事】国連は16日、イスラエルの攻撃が続くパレスチナ自治区ガザでポリオ流行の恐れがあるとして、ワクチン接種のための休戦を呼び掛けた。今月末から9月にかけて、ガザで10歳未満の64万人超を対象に接種を展開したい考えだ。

グテレス事務総長はニューヨークの国連本部で記者会見し「戦争が至る所で繰り広げられている状況では、接種実施は不可能だ」と強調。「停戦が理想だが、せめて(戦闘の)一時停止が必要だ」として、接種期間中の安全確保を求めた。

パレスチナの保健当局は16日、ワクチン接種歴のない生後10カ月の乳児のポリオ感染を確認したと発表した。世界保健機関(WHO)などによると、ガザでは過去25年間、ポリオの感染例はなかった。だが、6月に採取した下水からポリオウイルスが検出され、調べを進めていた。

ポリオは、ポリオウイルスに感染することでまひを引き起こす病気。感染力が強く、特に子供がかかりやすい。昨年10月にイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲して以来、ガザでは子供への定期接種が中断を余儀なくされており、はしかやA型肝炎の感染も増加している。

ハマスは16日の声明で、ワクチン休戦を支持すると表明した。

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