インドネシア政府は、首都ジャカルタへの一極集中や交通渋滞を解消するためなどとしておととし首都をジャカルタから1500キロ以上離れたカリマンタン島の東部に移転することを決めました。
神奈川県とほぼ同じおよそ25万ヘクタールの森林などを切り開いて作られる新しい首都は、ヌサンタラと名付けられ、現地では今、建設が続けられています。
17日は、インドネシアの重要な行事である独立記念日の式典が初めてヌサンタラで開かれ、ジョコ大統領をはじめ、一部の閣僚、さらに政府機関や地元の住民の代表などが出席しました。
式典では、新しい大統領宮殿の前の広場に国旗が掲揚され、ジョコ大統領らがその様子を見守ったほか、軍や警察が行進しました。
ジャカルタから式典に参加した30代の会社員の女性は、「早くヌサンタラが建設され、多くの投資を期待します」と話していました。
首都の移転をインドネシア政府は、およそ20年後の2045年までに完了させたいとしていて、ジョコ大統領は、工事の進捗(しんちょく)状況は、15%程度だとしています。
早ければことし10月には、一部の公務員を移住させ、今後、政府機関の移転を本格化させることにしています。
一方で、移転計画をめぐっては、日本円でおよそ4兆8000億円にのぼる総工費のうち、8割を民間投資などで賄うとしていますが、巨額の資金を調達できるのかどうか、疑問視する声もあり、課題の1つとなっています。
“首都移転プロジェクトに投資の意向” 複数の日本企業も
インドネシア政府によりますと、首都移転プロジェクトには今月14日の時点で国内外の企業から合わせて475件の案件で投資の意向が表明されていて、複数の日本企業も含まれているということです。
このうち海外でのインフラ開発などを手がける東京の企業「インデックスストラテジー」は新首都での道路や上下水道などの整備事業に関心を持っているということです。
現地を視察した池戸あいり取締役は、「思った以上に工事が進んでいる印象で、自然がきれいな場所だった。インドネシア政府は森林を生かしたスマートシティーというコンセプトを掲げているので、それが実現すれば良い都市開発になると感じた」と話しています。
一方、今後具体的にプロジェクトを検討していくための課題については、「官民連携事業の資金調達に関して関係者が集まって議論する機会をインドネシア政府に設けてもらえれば、外資系企業も参画しやすいのではないか」と話していました。
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