労組との交渉が決裂し、カナダと米国を結ぶ鉄道大手がシャットダウンを始めた=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】カナダ貨物鉄道大手のカナディアン・ナショナル鉄道(CN)とカナディアン・パシフィック・カンザスシティー鉄道(CPKC)が22日、労働組合との交渉が決裂したことを受け、運行停止したと発表した。両社の貨物の3割近くが米国に輸送されており、米経済にも影響を及ぼしかねない。

両社は労働組合チームスターズに所属する約1万人を職場から閉め出すロックアウトを始めた。労働組合が主導して組合員が一斉に休業するストライキと異なり、ロックアウトは会社側が労働者の就業を拒否する労働争議の対抗手段だ。

労組は2023年12月に契約が切れてから交渉を続けており、休息をめぐる労働条件などで合意できていない。

労組は「(両社は)休息時間やスケジュールをめぐる労働者の保護を弱めようとしている。CNは強制的に転勤させる計画も要求し続けている」と述べた。両社は「(労組は)非現実的な要求を続けている」と反発している。

運行停止によるカナダと米国の経済への影響が警戒されている。ロイター通信によると、両社の貨物の3割近くが米国に輸送されている。

ロックアウトに先立ち米国とカナダの商工会議所は20日、「運行停止はカナダ企業や家庭に壊滅的な打撃を与え、米国経済にも重大な影響を及ぼす」と警告する共同声明を出していた。

米格付け会社ムーディーズによると、運行停止による損失は1日3億4100万カナダドル(約360億円)とカナダの国内総生産(GDP)の4%超に相当する。鉄道での運送に頼る農業や自動車、エネルギー産業などが影響を受けそうだという。

カナダ政府に介入するよう求める声が大きくなっている。

カナダの商工会議所は声明を出し「労働大臣は即時に拘束力のある仲裁を通じた手段を使うべきだ」と述べた。トルドー首相は22日、「正しい解決策を早くとれるように、我々がとる対策を近く明らかにする」と語った。

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