トランプ前大統領は22日、西部アリゾナ州のメキシコ国境沿いを訪問した=AP

【シカゴ=飛田臨太郎】共和党のトランプ前大統領は民主党の全国大会に全米の注目が集まるのに対抗し、激戦州を相次ぎ訪問している。1週間で7つの激戦州のうち5州を訪ねる予定だ。22日には西部アリゾナ州のメキシコ国境沿いで、ハリス氏による民主党大統領候補指名の受諾を「クーデター」と批判した。

民主党の全国大会は19日に開幕した。トランプ氏も同日から激戦州訪問を始め、東部ペンシルベニア州を皮切りに、中西部ミシガン州や南部ノースカロライナ州に赴いた。23日には西部ネバダ州にも足を運ぶ。

トランプ氏は民主党予備選で党候補に選ばれたバイデン大統領が投開票の3カ月前に退き、ハリス氏に切り替わった経緯を非難し続けている。正統性に問題があると印象づけようと狙っている。

バイデン政権下で急増した不法移民にも有権者の関心を向けようと動く。

トランプ陣営はトランプ氏が22日に国境沿いを訪ねたのに合わせ、ハリス氏が過去に不法移民について「犯罪者ではない」と擁護する発言をした場面を集めた動画を公開する。政府の移民担当責任者であるハリス氏の「失政」と説き続ける見通しだ。

共和党はハリス氏が自身の政策を米有権者に十分に発信していないとも主張している。

共和の党候補指名争いに参加した実業家のビベック・ラマスワミ氏は22日、党を代表してシカゴで記者会見を開いた。「(ハリス氏は)政策ポジションがどこなのか、語るべきだ。そうすれば自由に公正な選挙ができる」と強調した。

ハリス氏に対して、新しい候補者に世の中が好意的になりやすい「ハネムーン期間」はまもなく終わるとの見方を示し「ページをめくって、本当の選挙をしよう」などと力説した。

ビベック・ラマスワミ氏は民主党大会に合わせて22日にシカゴで会見を開いた

トランプ陣営によると、21日の民主党大会の登壇者の発言には、トランプ氏への言及が87回あったが、インフレという言葉は1回しかなかった。民主党が有権者の関心の高い政策課題よりもトランプ氏への批判にばかり焦点をあてていると訴えている。

トランプ氏は22日、2020年の大統領選で自身が敗北した選挙結果を巡り「(16年の)最初の選挙よりも何百万票も多く票を集めたが、わずかに及ばなかった」と述べた。トランプ氏は敗北を認めない発言を繰り返してきた。

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