【北京=石井宏樹】中国の地方政府の予算を巡り、虚偽の歳入を計上する事例が相次いでいることが、各省が最近発表した昨年の監査報告書で明らかになった。

中国共産党の旗

 不動産不況による財政難で厳しい懐事情を取り繕うためだとみられるが、地方経済の混乱や誤った政策判断につながりかねないため、政府は税源移譲によって改善を図ろうとしている。  報告書によると、広東省の3市3県は国有企業を通じて国有資産を購入させる手口で、計171億元(約3500億円)を架空計上した。  河北省では1市7県で公共施設を売却処分したと偽ったり、国有企業から得られる収入・配当や罰金による収入を過剰に計上したりして、計25億元(約500億円)を水増しした。

◆不動産不況の影響で懐厳しく

 四川省では一昨年の地震被害への寄付金を歳入に繰り入れたほか、内モンゴル自治区の一部の市は収入に当たらない資金を財政収入として偽ったとされる。  中国では歳入の増加は、役人の政治業績として評価されるが、近年の不動産不況で地方財政の柱だったマンション用地の使用権売却益が減少。収支バランスが崩れて財政難が深刻化し、虚偽計上に手を染める自治体が相次いだとみられる。

◆税制改革で地方財源の拡充方針を示す

 7月に開かれた党の重要会議「中央委員会第3回全体会議」(3中全会)では地方の税制改革が主要テーマとして議論され、会議の決定全文で地方財源の拡充方針が掲げられた。  具体的には、ぜいたく品に課される「消費税」を地方に配分するほか、中央と地方で分ける税の分配比率を見直す方針が示された。地方政府関係者からは「今回の改革で一息つくことができる」との安堵(あんど)の声も漏れている。 

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