フィリピン大統領府の高官で、国家海事評議会のロペス報道官は28日、アメリカによるフィリピンの防衛義務を定めた「相互防衛条約」を現状に合わせて見直す必要があるとの考えを示しました。

条約は武力攻撃を受けた場合にアメリカがフィリピンの防衛を担う義務について定めていますが、中国は、南シナ海で軍の艦船ではない漁船や海警局の船がフィリピン側の船に妨害行為を繰り返すなど軍事衝突には至らないまま緊張状態をつくるいわゆる「グレーゾーン戦術」でフィリピンへの圧力を強めています。

こうした状況を念頭にロペス報道官は「相互防衛条約は1951年に締結されたが、戦略的な状況は大きく変わった。今こそ、見直すべき時かもしれない」と述べました。

また、フィリピンのテオドロ国防相も27日に首都マニラでアメリカが開いた軍事フォーラムに出席し、条約をより広範囲に解釈する必要があると指摘しました。

同席したアメリカのインド太平洋軍のパパロ司令官は南シナ海で活動するフィリピンの船舶をアメリカ軍が護衛することも「合理的な選択肢だ」などと発言し、アメリカとフィリピン両国が今後、中国の戦術にどう対抗していくのかが注目されます。

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