【北京=河北彬光】台湾の検察当局は31日、台北市長時代の汚職容疑で捜査していた台湾立法院(国会)の第2野党「台湾民衆党」の柯文哲(か・ぶんてつ)主席(党首)を逮捕した。同党は立法院で採決の行方を左右する存在だっただけに、トップの逮捕劇は政党間の勢力争いに影響を与える可能性がある。  検察は30日、柯氏の自宅や党本部などを捜索し、柯氏を含む関係者を事情聴取。台湾メディアによると、柯氏は取り調べに応じていたが、31日未明、聴取の継続を拒否する意向を示したところ、汚職防止に関する法令違反の容疑が強まったとして逮捕された。検察は逮捕の経緯に関し、柯氏が共犯者と口裏合わせをする恐れがあったと説明している。  柯氏は台北市長だった2020年、商業ビル建設で開発業者の要請に基づき、容積率の大幅な引き上げに便宜を図った疑いが持たれている。柯氏は逮捕手続きに問題があるとして裁判所に審理を申し立てたが、裁判所はこれを退けた。

◆1月の総統選で敗れたが、党は第三極として成長

 台湾では与党・民主進歩党(民進党)と、対中融和路線の最大野党・国民党が政権を争ってきたが、柯氏が創設した民衆党はこの二大政党に不満を持つ有権者の受け皿として成長。柯氏は1月の総統選で敗れたが、同時実施の立法委員(国会議員)選で民進、国民両党がともに過半数に達しない中で8議席を獲得し、立法院でキャスチングボートを握った。  最近は最大勢力の国民党と連携し、法案審議を主導してきた。ただ8月以降、柯氏の総統選を巡る政治献金の不正会計疑惑が浮上し、世論調査で支持率が急落。29日には党主席を3カ月間、「休職」すると表明したばかりだった。民衆党は、政治とは無縁だった医師出身の柯氏に対する個人的人気から支持を広げてきただけに、党存続の危機につながる恐れも出てきた。 

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