【北京=河北彬光】中国・遼寧省大連市の国立大学が、沖縄を巡る研究を目的とした「琉球研究センター」の設立を計画していることが分かった。設立されれば中国の大学で初めてとみられる。日本が台湾有事を巡り中国をけん制しているのに対抗し、沖縄を持ち出すことで日本を揺さぶる狙いがありそうだ。  設立を計画しているのは大連海事大。大学は1日、北京大や復旦大などの専門家20人余を招き、設立準備の会合を兼ねた研究討論会を開いた。香港紙・星島日報によると、出席した北京大の教授は「『琉球問題』を明確な研究対象とし、学問として位置付け、国際的な影響力を高めるべきだ」と発言した。  大連海事大は東京新聞の取材に、センターの設立を計画していることを認めた。ただ具体的な設立時期などは「各方面と調整が必要」として現時点で決まっていないとした。  中国共産党の機関紙・人民日報は昨年6月、習近平(しゅうきんぺい)国家主席がかつてトップを務めた福建省福州市に関し「琉球との交流が深かった」と発言したと掲載。これ以降、政府の研究機関が歴史的に沖縄は中国との結び付きが強いとして日本の領有権を疑問視する論文を発表するなど、世論形成を狙ったとみられる言論が相次いでいる。  中国は台湾を巡る情勢を「内政問題」と位置づけ、日本が米国とともに中国の軍事行動抑止に向けた動きを強めていることに反発している。星島日報はセンター設立の動きに関し、日本が台湾問題に介入しているとして「中国は『琉球』のカードを切ることができる。沖縄を日本の領土と認めないことで、日本をけん制できるだろう」と解説した。 

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