【ワシントン=浅井俊典】米大統領選の民主党候補ハリス副大統領(59)と共和党候補トランプ前大統領(78)の候補者討論会が10日、激戦州の東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで開かれた。6月の討論会で精彩を欠いて撤退したバイデン大統領(81)に代わって出馬したハリス氏とトランプ氏の初の直接対決で、経済や人工妊娠中絶の権利、移民政策などを巡って激論を交わした。

◆ハリス氏は「中間層を良くする」と強調

 ハリス氏は経済政策について、自身が中間層出身であることを説明した上で「米国の中間層や労働者の生活を良くするプランを持っているのは私だけだ」と強調。「私はすべての米国民のための大統領になる」と訴えた。

カマラ・ハリス氏(左、8月撮影)とトランプ氏(7月撮影)

 一方、トランプ氏はバイデン政権の経済政策を「インフレは米史上最悪だ。すべての米国人に壊滅的な被害を与えた」と批判。「大幅な減税を実施し、私の在任中のような素晴らしい経済を作り上げる」と強調した。  討論会は米ABCテレビが主催。各候補は2分で質問に答え、それに相手候補が反論する形式で、相手の発言中はもう一方のマイクを消音にするルールが設けられた。

◆トランプ陣営は「不規則発言」を警戒

 政治サイト、リアル・クリア・ポリティクスによると、ペンシルベニアやアリゾナなど勝敗を左右する激戦7州の各種世論調査の平均支持率は10日時点で、ハリス氏47.7%、トランプ氏47.9%と拮抗(きっこう)している。  討論会に向けてハリス氏は8月5日からペンシルベニア州ピッツバーグのホテルにこもり、討論の準備を進めた。暗殺未遂事件を切り抜けて党内の結束を高めたトランプ氏は、ハリス氏への個人攻撃が差別的と批判されており、陣営はハリス氏の挑発に乗ってトランプ氏が不規則発言をしないように警戒したとされる。  両氏が合意した討論会は現時点では今回のみで、選挙前の唯一の機会となる可能性がある。 

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