【バンコク=藤川大樹】フィリピン政府は15日、中国と領有権を争う南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島のサビナ礁に停泊していたフィリピン沿岸警備隊の巡視船「テレサ・マグバヌア」の撤退を発表した。中国が同船の撤退を求めていた。ただ、フィリピンは同船に代わる巡視船を派遣しており、緊張緩和につながるかは不透明だ。

◆両国の当局船が衝突するなど緊張が続いていた

 現地からの情報によると、テレサ・マグバヌアは14日にサビナ礁を離れ、15日午後、西部パラワン島のプエルトプリンセサに到着した。フィリピン国家海事評議会は声明で「侵入者たちの船団による包囲網に挑み、荒天と戦い、乗組員たちは食料の減少に耐えながら生き延びた」とねぎらった。同船は修理を受け、乗組員は休暇を取るという。  フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるサビナ礁では中国が埋め立てを始めたとされ、フィリピンは4月以降、テレサ・マグバヌアを配備。中国海警局の艦船がフィリピン船に衝突するなどの事案が相次ぎ、緊張が高まっていた。 

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