【ニューヨーク=竹内弘文】16日の米債券市場で2年債利回りが一時、前週末比0.12%低い3.53%近辺まで低下(債券価格は上昇)し、約2年ぶりの低水準となった。17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅が0.5%になるとの見方が台頭しているため。外国為替市場ではドル安・円高が進み、一時1ドル=139円台を付けた。
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金利先物市場の値動きから市場が織り込む政策金利予想を算出する「フェドウオッチ」によると、米東部時間の16日午後4時30分時点で米連邦準備理事会(FRB)が0.5%利下げに踏み切るとの予想確率が65%、0.25%利下げの確率が35%となった。1週間前には劣勢だった大幅利下げ観測が急速に台頭してきた。
著名なFRBウオッチャーである米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記者は12日の記事でFOMCは「利下げ幅を0.25%にするか0.5%にするかの判断に直面している」と伝えた。前ニューヨーク連銀総裁のダドリー氏も16日に米ブルームバーグ通信に寄せた論考で、景気を熱しも冷ましもしない中立金利に早期に近づけるため「0.5%利下げに説得力がある」と主張した。
日米金利差の縮小を背景に、外国為替市場ではドルが主要通貨に対して下落した。対円では一時1ドル=139円台半ばを付け、約1年2カ月ぶりの円高・ドル安水準となった。ドル安は実物資産の金(ゴールド)買いにもつながり、国際指標のニューヨーク先物(中心限月)は一時1トロイオンス2617ドルまで上げて最高値を更新した。
大幅利下げが減速感のにじむ米景気を下支えするとの期待感から米国株は買いが優勢だった。ダウ工業株30種平均は前週末比228ドル(0.6%)ドル高の4万1622ドルで引け、8月30日以来、約2週間ぶりに高値を更新した。多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数も7月半ばの史上最高値まであと0.6%に迫る。金融株やエネルギーなど景気敏感株の買いが目立った。
米証券ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は、大幅利下げ観測が短期間で台頭したことで「株はやや買われすぎ、債券は間違いなく買われすぎの状況にある」とみる。FOMCが実際に大幅利下げに踏み切ったとしても「株・債券ともに売りで反応するという可能性が否定できない」と指摘していた。
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