【北京=石井宏樹】中国のインターネット上では、日本人学校に関係する根拠のない中傷や反日感情をあおる動画が多く投稿されている。6月の江蘇省蘇州であった日本人母子切りつけ事件の直後に、反日的な投稿の規制が行われたが対応は追いついていない。

◆日本人学校の前で「中国人は入れない」とわめき立て

 中国の動画アプリでは、今回の事件以前から日本人学校の前で「ここは日本の租界か」「中国人は入れない」とわめき立てる動画が投稿され、数十万回以上の再生回数を稼いでいる。日本人学校の厳格な警備体制に対して疑問を呈したり、「政治スパイ活動との関係を連想させる」との荒唐無稽な指摘をしたりする投稿も散見される。

日本人学校の前で撮影されたとされる動画。「ここは日本の租界か?」との文言も=中国の動画アプリより

 投稿だけでなく、昨年8月に東京電力福島第1原発の処理水放出があった直後には、中国内の日本人学校に卵や石が投げ込まれるなどの被害も起きた。  蘇州の事件直後には、検索大手の百度(バイドゥ)、交流サイト(SNS)の微博(ウェイボ)や抖音(ドウイン)などが反日など民族感情を刺激する投稿に対する規制を相次いで発表。政権批判以外に対する取り締まりは異例で、排外主義の過熱が社会不安につながることを懸念する中国政府の対処とみられている。それぞれのアプリで数百の投稿やアカウントが削除、凍結された一方、規制を擦り抜けた投稿は現在も残り続けている。 

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