ニューヨークの国連本部で22日と23日に開かれる「未来サミット」には、岸田総理大臣やインドのモディ首相など各国の首脳が出席し、未来世代のための国際社会の具体的な行動指針を成果文書として採択することを目指します。

未来サミットを前に、国連のナンバー2、モハメッド副事務総長がNHKの単独インタビューに応じ「未来サミットは私たちが抱える大きな問題のすべてについて話し合う機会だ」と述べ、意義を強調しました。

ウクライナやガザ地区などで戦闘が続き、国連の安全保障理事会の機能不全が指摘されることについては「安保理に持ち込まれる問題の多くは、人間の安全保障や開発、平和や人権への投資不足が根本的な原因で、それら不正義への対処が必要だ。貧困を撲滅すれば、人々の生活に尊厳が戻り、紛争の道を選ぶ理由も減少する」と述べ、貧困や飢餓などへの対処こそいま国際社会が力を注ぐべきことだと指摘しました。

モハメッド副事務総長は「世界の緊張を減らすためには対話が必要であり、対話を通じて一緒に解決策を見つけ希望を見いだす必要がある。それは二国間の対話だけでは見つからない」と述べ、未来サミットでは、対立や分断が続く中でも未来の世代のため、紛争予防や気候変動対策、それにSDGsの達成など、地球規模の共通課題への取り組みを加速させる機会にしなければならないと強調しました。

「未来サミット」とは

「未来サミット」は、未来世代のために地球規模の課題への国際的な協力を各国の首脳が話し合うもので、今月22日と23日の2日間、ニューヨークの国連本部で開かれ、国際社会の具体的な行動指針を示した成果文書「未来のための協定」の採択を目指しています。

協定の草案は
▽「持続可能な開発と開発資金」
▽「国際の平和と安全」
▽「科学・技術・イノベーションとデジタル協力」
▽「若者および将来世代」
そして
▽「グローバル・ガバナンスの変革」という
5つの章に分かれていて、国際協力が求められる幅広いテーマを網羅しています。

▽第1章の「持続可能な開発と開発資金」は、国連が掲げる2030年までの持続可能な開発目標、SDGsの達成に向け取り組みを加速させるための資金調達の強化を求めています。

▽第2章の「国際の平和と安全」は、紛争の予防や仲介の仕組みを強化することや、宇宙空間の軍事利用や、AI=人工知能を使った兵器など新たな技術による平和への脅威にどう対処するかをテーマとしています。

▽第3章の「科学・技術・イノベーションとデジタル協力」は、世界の誰もが平等に技術革新の恩恵を受けられるようにすることを目指すとしています。

そして
▽第4章の「若者および将来世代」は、未来の世代の利益を守るため、若者たちがそれぞれの国や国連をはじめとする世界レベルでの意思決定に参加できるよう支援するとしています。

最後に
▽第5章の「グローバル・ガバナンスの変革」は、常任理事国の対立で機能不全に陥っている国連安全保障理事会の改革や国連総会の活性化、そして世界中に影響が及ぶような深刻で複合的な事態への対応の強化を検討しています。

「未来のための協定」に法的な拘束力はありませんが、国際社会の対立と分断が深まる中で、未来の世代のために国連加盟国が一致して協定を採択できるのか注目されています。

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