米国とメキシコの国境地域を訪れたハリス副大統領=AP

【ワシントン=芦塚智子】米国のバイデン政権は30日、不法移民の流入を防ぐ国境管理の強化措置を発表した。不法移民対策は11月5日の大統領選の争点の一つ。政権の強硬姿勢を示すことで、民主党の大統領候補であるハリス副大統領の取り組みを強調する狙いがある。

バイデン大統領は6月、米南西部のメキシコ国境で不法越境者の数が1日平均2500人を超えると難民申請を受理せず、入国を拒否する大統領令に署名した。不法越境者が7日連続で1日平均1500人を下回れば受理を再開するとしていたが、大統領令を修正して再開条件を28日連続と厳しくした。

さらに当初の大統領令では基準となる不法越境者の数にメキシコ以外からの単独の子供は含めないとしていたが、全て数に入れることにした。新基準の導入により、厳しい国境管理をより長い期間にわたって継続できるようになる。

ハリス氏の陣営は27日に同氏の国境地域訪問にあわせ、国境管理を強化すると明らかにしていた。ハリス氏は演説で「不法越境者は逮捕し、国外追放され、5年間は再入国を禁止する」と力説した。

共和党の大統領候補であるトランプ前大統領は厳しい移民政策を掲げ、バイデン政権下での不法移民の増加はハリス氏の責任だと攻撃する。移民問題を巡る世論調査では、トランプ氏への評価がハリス氏を上回っている。ハリス氏は中道寄りの姿勢で挽回を目指す。

南西部国境での不法越境者の拘束数は2023年12月をピークに減少しており、6月の大統領令発表後も約2割減った。

人権団体などは6月の大統領令を違法として差し止めを求めて提訴している。

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