イスラエル軍は9月30日、レバノンの首都ベイルート中心部を空爆した。さらに10月1日には、親イラン武装組織ヒズボラの拠点などを攻撃するため、レバノン南部での限定的な地上作戦を始めたと発表。一方、ヒズボラのナンバー2・カセム師は、前日にテレビ演説で「地上作戦への備えはできている。我々が勝利する」と徹底抗戦の構えを示していて、戦闘が拡大し、さらに激しくなる恐れがある。
首都ベイルート中心部に“初”の空爆
ベイルート市内中心部で9月30日、集合住宅が空爆され、パレスチナの過激派グループは幹部3人が死亡したと発表した。イスラエル側の発表はないが、AP通信などによると、一連の応酬でイスラエルによるベイルート市内への攻撃は初めてだという。
この記事の画像(11枚)紛争拡大が懸念される中、アメリカのバイデン大統領は9月29日、全面戦争について「回避しなければならない」と述べ、イスラエルのネタニヤフ首相と会談する予定だと明らかにした。
イスラエル軍の会議に“殺害したいヒズボラ幹部リスト”
青井実キャスター:
イスラエル軍のレバノンへの攻撃は、大規模なものだったようですね。
立石修フジテレビ解説委員室長:
攻撃はこの週末から本格化しました。27日にイスラエル軍はヒズボラの最高指導者のナスララ師という人物を殺害したのですが、米メディアによると、数分間で80発の爆弾が使われました。
しかも「バンカーバスター」と呼ばれるシェルターなどを壊して、地下に貫通する爆弾を使ったといいます。そのため、ヒズボラの本部には大きな穴が空いています。9月29日にはこの他、レバノン南部45カ所で空爆を行い、100人以上が死亡したと伝えられています。
青井キャスター:
イスラエルがターゲットにするヒズボラは、レバノン政府とは直接的にはつながっていない組織ですよね?
立石解説委員室長:
ヒズボラは、80年代にイスラエル軍がレバノンに侵攻した際にイランがバックアップして作った組織です。国会にも議員を送り、医療福祉活動も行ってきました。政府ではありませんが、国民に強い影響力を持つ存在です。
注目すべきは武装部門で、イスラエル全土を狙えるロケット弾なども保有していて、イスラム組織ハマスより巨大な組織です。2006年にイスラエルがレバノンに侵攻した際も、殺されたナスララ師の指導のもと激しく抵抗し、イスラエル軍が撤退したこともありました。
イスラエル軍の会議の様子を写した写真を見ると、“殺害したいヒズボラの幹部リスト”が背景に写っています。一番上がナスララ師で、その下の幹部にも「×(バツ)」がついています。こういった会議の写真を公開することからもイスラエルの本気度が伺えます。
イラン最高指導者・ハメネイ師は身を隠す
青井キャスター:
ハマスやヒズボラの後ろ盾である、イランの動きをどう見ますか?
立石解説委員室長:
イギリスのBBCによると、イランは最高指導者のハメネイ師について、暗殺を避けるために緊急予防措置をとって身を隠させたといいます。イランは事態が激しくなることを望んでいないかもしれませんが、緊張が高まれば、何らかの行動を起こす可能性もあります。
SPキャスター パトリック・ハーランさん:
バイデン大統領はどうしてもこの全面戦争を回避しなきゃいけないと言っていますが、イスラエルとハマスの交渉も全然動かないことから分かる通り、今アメリカは両者における影響力はほとんどないですよね。外交ルートで何ができるか、この先探らなくてはいけないですが、希望は持ちづらいところです。
(「イット!」 9月30日放送より)
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