カルシの米上院選予想サイト

【ニューヨーク=竹内弘文】米連邦控訴裁判所が2日、選挙結果を対象とする賭博を合法とする暫定的な判断を下した。賭けサイトで11月の米連邦議会選について取引が始まった。選挙戦での優勢・劣勢をほぼリアルタイムで映す重要なデータと期待される一方、選挙戦への介入を危惧する見方も根強く残る。

米国では従来、選挙結果を対象とする賭けは禁止されてきた。これまでも選挙結果を予想して取引する「ポリマーケット」や「プレディクティット」といったプラットフォームはあったものの、米国人が取引できないなど制約は多かった。

賭けサイト運営のカルシは、米商品先物取引委員会(CFTC)が連邦議会選に関する取引開設を阻んだのを不服としてCFTCを提訴した。連邦地裁が9月にカルシの主張を認めるとCFTCはすぐに控訴し、あわせて一時停止命令を申請した。控訴裁は2日に一時停止命令を解除した。控訴審自体は継続するが、選挙賭けサービスの提供が可能になった。

カルシは上下両院で民主・共和のどちらの政党が勝利するかの取引を開始している。米東部時間の3日午後1時時点で、上院選で「共和党勝利」との予想が74%、「民主党勝利」予想が26%。取引量がまだ多くないため、現時点での予想の精緻さは必ずしも高くない可能性がある。

米大手ネット証券インタラクティブ・ブローカーズも、各種予想取引を手掛ける子会社フォーキャストEXを通じ、米東部時間3日午後5時15分から「ハリス副大統領は大統領選に勝利するか」など10種類あまりの取引を開始すると発表した。選挙結果にまつわる相場変動リスクを軽減するヘッジといった利点があると説明している。

両プラットフォームとも「共和党勝利」など特定の条件を満たす契約を売買するやり方をとり、デリバティブ(金融派生商品)に似た仕組みを持つ。候補者の発言や世論調査など新たな材料を考慮して賭けるため、取引量が十分多くなれば各参加者の思惑が交錯して決まる価格は選挙戦の実勢を映す可能性がある。

一方で反対の声も絶えない。非営利団体ベター・マーケッツのスティーブン・ホール氏は「悪意のある者たちにとって、選挙に介入し民主的なプロセスから離れて有権者に影響を与えようとする誘因を生み出す」と指摘した。

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