【ニューヨーク=佐藤璃子】8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比126ドル13セント(0.3%)高の4万2080ドル37セントで終えた。前日まで株売り要因として意識されていた原油高がこの日は一服し、米経済の軟着陸期待からテック株を中心に買いが広がった。

個別銘柄では米半導体大手のインテル、ダウ平均には採用されていないがエヌビディアがそれぞれ4%高と大きく上昇した。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は1.5%高で引けた。S&P500種株価指数も1%高となった。

中東情勢を巡る緊迫は続くものの、8日は米原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格が6日ぶりに反落した。原油高はガソリン価格の上昇を通じて米個人消費を冷やすだけに、上昇一服は投資家心理の支えになった。

米連邦準備理事会(FRB)の高官発言も株式相場の追い風になった。

クグラー理事は8日、物価の安定と雇用の最大化というFRBの2つの使命のうち「雇用の最大化にも注意を払うことを支持する」と述べた。インフレ圧力が予想通り緩和し続ければ「追加の利下げを支持する」と語り、市場ではFRBの利下げ継続への期待が高まった。

米運用会社ナベリアのルイス・ナベリア最高投資責任者は「前週発表の9月のサービス業の景況感や雇用統計を受け、市場は米景気に楽観的な見方を維持している」と指摘する。10日には9月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えるが「相場にネガティブになるようなサプライズは起きないだろう」(米調査会社CFRAのサム・ストーバル氏)との声が多い。

この日のダウ平均は前日比マイナスに転じる場面もあった。米長期金利の指標となる10年物国債利回りが一時4.05%程度と2カ月ぶりの高水準を付け、株式の相対的な割高感が意識された。金利上昇はその後落ち着いたが、市場ではFRBの利下げペースが想定よりも鈍くなることへの警戒感も根強い。原油価格の反落で建設機械のキャタピラーや石油大手シェブロンの株価は下落した。

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