2016年5月、広島市の平和記念公園でオバマ米大統領(左)と握手する坪井直さん
ノーベル平和賞の受賞が決まった日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の被爆者らは「生き証人」として核廃絶運動を先導してきた。だが、平均年齢が85歳を超える被爆者がいなくなる日は、そう遠くない。平和のバトンを子孫や市民に託す取り組みが進んでいる。 広島では21年に坪井直さん=当時(96)=が、長崎では17年に谷口稜曄さん=同(88)=と、いずれも被団協代表委員を務め運動を代表する被爆者が相次いで亡くなっている。 被爆者の話を聞き、伝える訓練を積んだ延べ264人が活躍している。広島市の会社員尾形健斗さん(33)は、入市被爆した祖父松原昭三さん(95)の体験を受け継ぐ。「少しでも平和について関心を持ち、考える人を増やすことが、被爆3世として広島に生まれた者の使命だと感じる」と話す。 長崎市も14年度から、被爆者の家族を対象に同様の取り組みを始め、16年度からは一般市民にも枠を広げた。市被爆継承課の担当者は「数十年、数百年先に伝えられるように担い手を増やさなければならない」と力を込める。
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