【ソウル=上野実輝彦】元徴用工訴訟問題と関連し、存命中の原告2人のうちの1人である梁錦徳(ヤンクムドク)さん(94)が23日、韓国政府の発表した「第三者弁済」による解決策を受け入れたことが、韓国外務省などへの取材で分かった。解決策を批判してきた当事者が方針を転換したことで、他の原告らの意向にも影響する可能性が指摘されている。

元朝鮮女子勤労挺身隊員の梁錦徳さん=2022年7月撮影

 韓国政府傘下の財団は、敗訴した被告企業の賠償金を肩代わりし原告に支払う第三者弁済を進めている。韓国外務省や財団関係者によると財団は23日、梁さんに賠償金相当額を支給した。2018年に勝訴が確定した原告15人のうち、弁済を受け入れていないのは存命の1人を含む3人となった。

◆政府関係者が説得か、支援団体は「承知していない」

 梁さんは第2次大戦中、女子勤労挺身(ていしん)隊員として三菱重工業の軍需工場(名古屋市南区)に動員された。解決策の発表直後から支援団体とともに受け入れを拒み、第三者弁済に批判的な立場の象徴的存在だった。団体によると、昨年11月から入院し認知症も患っていたという。  朝鮮日報は、政府関係者が梁さんに直接会うなどして説得してきたと報じ「現在進行中の訴訟の原告にも影響を及ぼす」との見方を伝えた。一方、支援団体は「梁さんの意志から始まったのかや、どんな経緯で結論に至ったのかは承知していない」と表明した。 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。