【ソウル=上野実輝彦】北朝鮮メディアは23日、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記が「戦略ミサイル基地」を視察したと報じ、ミサイルが写った基地の様子も掲載した。米国本土を射程に入れた大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを運用する拠点とみられ、視察の日付は明らかにしなかった。

◆写真にはICBM「火星18」が写る

 党機関紙・労働新聞は、正恩氏が「国の安全に直結した戦略的抑制力の稼働準備態勢を点検した」と報道。視察した正恩氏は、米国の核戦力が北朝鮮の安全保障環境に与える脅威が日増しに高まっていると語り、基地の現代化や即時反撃態勢の維持を指示した。

金正恩氏のニュースを伝える北朝鮮メディア「労働新聞」ウェブサイト(スクリーンショット)

 同紙は、基地に向かうため山間地を歩いているとみられる正恩氏や、固体燃料型ICBM「火星18」、極超音速弾頭を搭載した弾道ミサイルなどが写った写真を掲載した。戦略ミサイル基地の様子を公開するのは初とみられる。

◆対ロシア「援軍」3000人か さらに増派の見通し

 ミサイル基地視察を報じた意図について、韓国の北韓大学院大の梁茂進(ヤンムジン)教授は「米大統領選の終盤に核保有国であることを誇示し、トランプ氏が再選した場合の交渉に備えている」とし、今後、ICBM発射に踏み切る可能性があると指摘した。北朝鮮のロシア派兵と関連し「国内戦力も弱体化していないことを示す予防的行動」(韓国・統一研究院の洪珉(ホンミン)先任研究委員)との見方もある。  また韓国の情報機関・国家情報院は23日の国会で、北朝鮮の派兵が計3000人に達したとの分析を明らかにした。1万人規模の派兵が12月ごろに計画されているとの見通しも示した。国情院は18日、北朝鮮が特殊部隊1500人をロシアに送ったと発表していた。 

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