【ニューヨーク=鈴木龍司、ワシントン=浅井俊典】アメリカ大統領選は11月5日の投開票まで、29日で1週間となる。大接戦となる中、共和党候補のトランプ前大統領(78)は27日、出身地で民主党の牙城でもあるニューヨークに乗り込み、集会を開催。民主党候補のハリス副大統領(60)は激戦州の東部ペンシルベニア州を重点的に回り、最終盤での有権者取り込みを図った。

トランプ氏の集会の会場前で記念写真を撮る支持者ら=27日、米ニューヨーク市中心部で(鈴木龍司撮影)

 トランプ氏は、スポーツの聖地としても知られるアリーナ「マディソンスクエアガーデン」で演説し、「アメリカンドリームを取り戻す」と宣言した。約2万人の支持者で埋め尽くされた会場に満足げな表情を浮かべ「インフレを終わらせ、犯罪者の侵入を食い止める」と語り、副大統領として移民政策を担当するハリス氏への批判を続けた。

◆有罪評決受けた因縁の地だからこそ?

 ニューヨーク州はリベラル色が強く、今回も民主党が優勢を保つ。共和党は2期目を目指したレーガン元大統領が勝利した1984年を最後に、連敗が続いてきた。共和党候補が最終盤に同州で集会を開くことは異例だが、米国を代表するアリーナを満席にすることで勢いをアピールし、選挙資金獲得を目指す狙いがあるとみられる。  また、トランプ氏は不倫口止めに絡む事件で同州地裁から大統領経験者として初めて有罪評決を受けている。「政治目的の魔女狩り」と非難する因縁の地で、熱狂的な支持者の団結を促す目的との見方もある。周辺ではトランプ氏への抗議活動も展開され、一帯は緊張感に包まれた。

トランプ氏の集会の会場周辺では、同氏への抗議活動が展開された=27日、米ニューヨーク市中心部で(鈴木龍司撮影)

 一方、ハリス氏はペンシルベニア州最大の都市フィラデルフィアで演説し「私たちは過去や自分自身に固執するトランプとは違い、未来と米国民の求めるものに焦点を当てている」と強調した。この日は同所での選挙活動に費やし、黒人有権者が集まる教会や書店、プエルトリコ料理のレストランなどを訪問した。

◆ハリス氏は都市部での投票率上昇が不可欠

 選挙結果を左右する激戦7州のうち、最も人口が多いペンシルベニア州は勝敗に直結するとされる。トランプ氏は農村部に強く、ハリス氏が同州を制するにはフィラデルフィアやピッツバーグなど都市部での投票率上昇が不可欠。さらに民主党の支持基盤だった黒人やヒスパニック(中南米系)の男性票離れが指摘されており、重点的な訪問でつなぎとめを狙った。  ハリス氏は「投開票日の翌日に後悔してはいけない」と述べて投票に行くよう呼びかけ、「勝利はフィラデルフィアに、そして州全体に広がる」と訴えた。 

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