ガザ南部ハンユニスで、住民の遺体を収容するガザ当局者ら=21日(ゲッティ=共同)

【カイロ=共同】イスラエル軍が激しく攻撃したパレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスのナセル病院の地中から見つかった遺体が400人近くに達した。ガザ当局は軍が女性や子どもを含む民間人を殺害後に埋めた「集団墓地」だとするが、軍は「根拠がない」と否定。国連や米国から調査を求める声が高まっている。

「手錠をかけられたり、衣服をはぎ取られたりした遺体があった。冷血に処刑された」。ガザ当局は22日の声明で軍を非難した。ナセル病院には少なくとも3カ所の墓地があり、25日までに392人の遺体が見つかったとしている。

軍は病院にイスラム組織ハマスの拠点があって人質が拘束されていると主張し、2月に突入作戦を強行。攻撃は4月上旬まで続き、軍の撤収後、遺体が見つかった。ガザ当局は、軍突入時に院内にいた患者や避難民ら約2千人が行方不明で、拘束または殺害された疑いがあると訴えている。

集団墓地は、ジェノサイド(大量虐殺)の証拠につながる可能性があるが、ガザ当局は死因や埋められた時期に関し明確な物証を提示していない。軍突入前の1月、住民らが軍の攻撃で失った家族の遺体を埋めていたとの報道もある。

軍は、人質の遺体がないか確認するため住民が埋めた遺体を調査し、該当しなかったものは元に戻したと説明した。調査は「死者の尊厳」を守って実施したとしている。

軍は昨年10月の戦闘開始以降、ガザ各地で市民が避難する病院を繰り返し攻撃した。北部にある地区最大のシファ病院でも集団墓地が見つかったと伝えられ、最大の後ろ盾である米国もイスラエルに調査を要請した。

国連人権高等弁務官事務所は集団墓地の発見に「恐怖を覚える」と表明した。意図的な民間人殺害は戦争犯罪であり独立調査が必要だと訴えた。

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