【ワシントン=浅井俊典、鈴木龍司】5日投開票のアメリカ大統領選に向け、選挙戦最後の日曜日となった3日、民主党候補のハリス副大統領(60)と共和党候補のトランプ前大統領(78)は、勝敗を左右する激戦州で支持拡大に奔走した。ハリス氏は中西部ミシガン州を集中的に回って黒人やアラブ系有権者らに支持を訴え、トランプ氏は3つの激戦州での遊説でハリス氏批判を展開した。

◆アラブ系と黒人票のつなぎ留めに必死

 ハリス氏はデトロイト郊外での集会で、「恐怖と分断に支配された政治に終止符を打つチャンスが、今回の選挙にはある。米国民を敵ではなく隣人として見る新たな道への準備ができている」と強調した。

デトロイト近郊ディアボーン市で不在者投票をする有権者=10月24日、米ミシガン州で(浅井俊典撮影)

 同州に多く住むアラブ系はもともと民主党支持者が多数を占めていたが、パレスチナ自治区ガザ情勢を巡りイスラエルに厳しい対応を打ち出せない民主党政権に反発。支持離れが懸念される。ハリス氏は「大統領として、ガザでの戦闘を終わらせることに全力を尽くす」と決意を語り、配慮を示した。  また、支持基盤である黒人が多く通うデトロイトの教会では「祈りや言葉だけではなく、行動を」と投票を呼びかけた。ハリス氏にとってミシガン州は絶対に落とせない激戦州の一つ。同州で敗れるとトランプ氏が優勢の州での勝利が必要となるだけに、最終盤に支持固めを図った形だ。

◆激戦3州を立て続けに行脚

 激戦のペンシルベニア、ノースカロライナ、ジョージアの3州で立て続けに演説したトランプ氏は、ハリス氏を「急進的な左翼のマルクス主義者」と呼び、「彼女がトップに立つようなことがあれば、この国は終わりだ」と断言。「ハリス氏が壊したこの国を私が立て直す」と宣言した。

ピッツバーグ市街地をパレードする労働組合員ら=9月2日、米ペンシルベニア州で(浅井俊典撮影)

 今回の選挙手続きに対して「不正が横行している」と不満を示すトランプ氏は、「私は民主党という腐敗組織と戦っている」とも主張。熱狂的な支持者の怒りを呼び起こすように、「あなたたちを『陰謀論者』だと非難して投獄しようとしているが、投獄されるべきは選挙を不正に操作している連中だ」と訴えた。  また、「歴史的な大接戦」と報じられている終盤情勢について、「世論調査が操作されている」とリベラル系メディアへの批判を展開。「この国の運命は皆さんの手に委ねられている。立ち上がり、行動を起こさなければならない」と支持者に呼びかけた。 

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