プーチン大統領「中立性なければよい関係築くことは困難」
ロシア報道官 軍事侵攻や和平条件など “譲歩なし”姿勢を強調
トランプ氏とゼレンスキー大統領の電話会談 マスク氏が同席か
バイデン政権 ウクライナでの米軍事企業の活動 禁止措置を解除
ロシアのプーチン大統領は、7日開かれたバルダイ会議で、軍事侵攻を続けるウクライナについて「中立性がなければよい関係を築くことは難しいだろう」と述べ停戦に向けては、ウクライナがNATO=北大西洋条約機構への加盟を放棄することが必要だと改めて求めました。その上で「ウクライナの国境線は、私たちが歴史的領土と呼ぶ特定の領土に住む人々によって決められるべきだ。すべては起こっている出来事の力学にかかっている」と述べ、ウクライナや欧米などは、ロシアが一方的に併合した東部と南部の4州やクリミアのロシアの主権についても認めるべきだと主張しました。一方、プーチン大統領はアメリカ大統領選挙で勝利したトランプ氏について「彼に電話することは恥ずべきことではない。準備はできている」と述べ、個人的な関係を築いたトランプ氏と対話する用意はあるという考えを明らかにしました。
ロシアのプーチン大統領は7日、国際会議の場で「私はアメリカ国民から信頼される国家元首であれば、どのような元首とも協力すると言ってきた」と発言し、トランプ氏と対話する用意があるという考えを示しました。これについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は8日、記者団からウクライナ情勢を巡るロシア側の要求を変える意向があるのかと問われたのに対し「大統領は、特別軍事作戦の目標が変更されるとは一度も言っていない。むしろ、目標は変わっていないと言っている」と述べました。プーチン大統領は、ことし6月に和平交渉を始めるための条件を挙げていますが、7日の発言の中でもウクライナのNATO=北大西洋条約機構への加盟は認められないという考えを改めて示しました。また、「ウクライナの国境線は私たちが歴史的領土と呼ぶ特定の領土に住む人々によって決められるべきだ」などと述べ、ロシアが一方的に併合したウクライナ東部と南部の4州やクリミアについてロシアの主権が認められるべきだと主張しました。こうした主張に対してウクライナは、領土の回復やロシア軍の撤退などを訴え、ロシア側の要求を一貫して拒否しています。
アメリカ大統領選挙でトランプ氏を支持した実業家のイーロン・マスク氏の処遇が注目される中、アメリカの複数のメディアはトランプ氏とウクライナのゼレンスキー大統領が6日に電話会談した際、マスク氏が会談の一部に同席したと報じました。このうち、アメリカのニュースサイト、アクシオスは複数の関係者の話としてマスク氏が会談の中で自身が率いる「スペースX」が提供する衛星通信網「スターリンク」を通じて、ウクライナへの支援を続ける考えをゼレンスキー大統領に伝えたとしています。トランプ氏とマスク氏の親密さを改めて示した形で、アメリカの次期政権でのマスク氏の影響力に関心が集まっています。
アメリカのCNNテレビは、バイデン政権がウクライナ軍を支援するために、アメリカの軍事企業がウクライナ国内で活動するのを事実上、禁じてきた措置を解除しF16戦闘機や防空システム「パトリオット」などの修理やメンテナンスをウクライナ国内で行えるようにすると伝えました。アメリカのCNNテレビは8日、政府高官の話として、これまでアメリカの軍事企業がウクライナ国内で活動するのを事実上、禁止してきた措置をバイデン政権が今月はじめに解除したと伝えました。軍事企業はアメリカが供与してきたF16戦闘機や防空システム「パトリオット」などの修理やメンテナンスを行うとしています。ロシア軍との戦闘で大きな損傷を受けたアメリカ製の兵器の修理やメンテナンスは専門の知識が必要なことから、これまでウクライナから隣国のポーランドやルーマニアなど、NATO=北大西洋条約機構の加盟国に搬出して行われてきましたが、今後はウクライナ国内で行い、兵器をより早く前線に戻すことができるようになるとしています。バイデン政権は軍事侵攻の開始以降、ロシアを刺激しないようアメリカの軍や軍事企業によるウクライナでの活動を厳しく制限していました。CNNテレビは「この方針転換は政権のウクライナ政策の大きな変化だ」と伝えています。
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