ゴールドマンは運用する複数ファンドを通じてノースボルトに投資していた

【ニューヨーク=斉藤雄太】米金融大手ゴールドマン・サックスの運用するファンドが、投資先のスウェーデンの新興車載電池ノースボルトの経営破綻で9億ドル(約1400億円)規模の損失を計上する見通しであることが23日、分かった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。

ノースボルトは21日、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法第11条(チャプター11)を米テキサス州の連邦破産裁判所に申請した。米電気自動車(EV)大手テスラの元幹部らが2016年に立ち上げた会社で独フォルクスワーゲン(VW)や独BMWなども出資していたが、中国製車載電池との競争が激しく資金繰りに行き詰まった。

FTによると、ゴールドマンは系列運用会社のゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの手がけるプライベート・エクイティ(未公開株)運用の4つのファンドを通じて少なくとも計8億9600万ドルをノースボルトに投じ、第2位の大株主だった。24年末までに投資評価額をゼロに引き下げるという。

ゴールドマンの広報担当者は日本経済新聞に対し、声明で「我々はこの結果に失望した多くの投資家のうちの1社だが、高度に分散されたファンドによるマイノリティ出資だった」と述べた。「我々のポートフォリオはリスクを軽減するため集中投資の制限がある」として、個別の投資の失敗がファンドの運用に与える影響を抑える設計になっていると強調した。

ゴールドマンは主力の投資銀行やトレーディング業務に加え、顧客の投資家などから集めた資金を運用して手数料を得る資産運用ビジネスに注力している。9月末時点で3.1兆ドルの契約資産残高を抱える。

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