2022年11月27日の夜、上海のウルムチ中路付近で警察と対峙して白紙を掲げる運動の参加者（黄意誠さん提供）
白紙運動 2022年11月24日、ウルムチ市のマンション死亡火災で、コロナ規制による救助の遅れで被害が拡大したとの批判から、中国各地に広がった厳しい行動制限に対する抗議活動。同26日に上海で起きた抗議は規模が大きく象徴的となった。翌12月に中国政府はゼロコロナ政策の大幅な緩和を発表した。表だって大勢の市民が政府を批判する事態に発展したのは、1989年の天安門事件以来ともいわれる。
◆口に出すのも危険な話題
2022年11月24日に10人が死亡する火災が起きたウルムチ市中心部のマンション。今月中旬に訪れると、公安当局が今も厳戒態勢を敷いていた。 門の前には警察車両と制服の警官が配置され、私服姿の10人以上が周囲を歩いて記者の動きを監視。門に近づこうとすると、両手を広げて「どこへ行く。中には入れない」と行く手を阻まれた。当時を知る市内の男性は「火災やその後のデモは非常に敏感な話題で、口にするのは危険だ」と声を潜めた。◆「習近平は下野せよ」に衝撃
火災翌日、市内で起きた政府への抗議デモは、交流サイト（SNS）を通じて上海や北京など各地に白紙運動として広がった。ウルムチ市の女性は「当時は家から出られずみんな苦しんでいた」と振り返る。
11月中旬、ウルムチで、2年前の火災で10人が死亡したマンション一帯。白紙運動のきっかけとなった＝河北彬光撮影
厳しい言論統制下で「無言の抵抗」として広まった白紙運動に、ゼロコロナ政策に反発する若者が加わって公然と政権批判を口にする事態に。政府は統制を強め、参加者の多くは追及...残り 798/1596 文字
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