韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は3日深夜、1987年の民主化以降初となる「非常戒厳」を宣言し、「一切の政治活動を禁じる」などと発表した。
宣言を受けて、戒厳司令部は一切の政治活動を禁止した他、メディアは司令部の統制を受けるとし、違反した際は令状なしに逮捕・捜索ができるなどと発表した。
しかし4日午前、非常戒厳は解除された。
ソウルの国会前では、夜が明けた4日朝でも、多くの市民が「尹大統領を逮捕せよ」などと批判の声を上げていた。
一方、午前7時過ぎには人で埋め尽くされていた国会前の車道から市民を歩道の方へ移動させるため警察が多数出動し今も警戒に当たっている。未明にはこの場所で反発した市民と軍の兵士がもみ合いになる場面もあった。
上空には複数のヘリも出動し、国会周辺は異様な光景となっている。
1987年の民主化以降、韓国で非常戒厳が出されるのは初めてだが、韓国の国会は4日未明に非常戒厳の解除を求める決議案を可決し、尹大統領も午前4時半頃、非常戒厳の解除を表明した。
突然の非常戒厳に対し、野党はもちろん与党の韓東勲(ハン・ドンフン)代表も「尹大統領の非常戒厳は間違っている。国民とともに阻止する」と反発した。
韓国市民に話を聞くと、驚きと共に「なぜ非常戒厳を宣言したのか、理由が分からない」という困惑する声が多く聞かれた。
また韓国の通信社「聯合ニュース」は最大野党「共に民主党」の話として、武装した兵士が国会に侵入した際、与野党の代表や議長を逮捕しようとする動きが監視カメラで確認されたと伝えている。
この異常事態を受けて、これまで大統領の弾劾に反対していた一部の野党からも大統領の責任を追及する声が上がっている。
今後、尹大統領の弾劾を求める声が大きくなる事も予想され、政治的な混乱が続くとみられる。
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