【ニューヨーク=吉田圭織】新型コロナウイルス流行に関する米下院特別小委員会は4日までに中国・武漢の研究所での事故がパンデミック(世界的大流行)を引き起こしたウイルスの起源だとする最終報告書を公表した。
同報告書は2023年2月からの聞き取り調査などをまとめたもので、500ページ以上にのぼる。研究所からウイルスが流出した根拠として、ウイルスが自然界ではみられない特性を持っていたことや、2019年秋に複数の研究所の職員が新型コロナに似たような症状が出ていたと考えられると米国務省が指摘していたことなどを挙げた。「自然界で発生したのであれば、すでに証拠は表面化しているはずだ」とも指摘した。
報告書は「調査を始めてから多くの情報機関幹部や政治家、科学誌の編集者、科学者らが研究所での事故が起源だとする説を支持するようになった」と主張した。
一方で、同特別小委員会は下院で多数を占める共和党議員が委員長を務めており、民主党側が報告書の内容について批判している。民主党側は対抗する報告書で「ウイルスの起源や関連する知識を深められるような新たな情報はなかった」と反発した。
米政府内で新型コロナの起源をめぐる意見は分かれているままだ。米疾病対策センター(CDC)や米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)は動物を介して人間に感染した可能性が高いとみている。だが、米連邦捜査局(FBI)と米エネルギー省は研究所から流出した可能性が高いと判断している。
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