【エルサレム=共同】米CNNテレビは8日、シリア反体制派の一部が首都ダマスカスに入ったとみられ、衝突が起きていると報じた。住民の話として伝えた。ロイター通信によると、シリア反体制派は8日、首都ダマスカスにつながる第3の都市、中部ホムスを掌握したと主張した。アサド政権には大きな打撃となる。アサド政権打倒を目指して攻勢を強める構えで、激しい首都攻防戦に突入する可能性がある。
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シリア内戦は最近までアサド政権側が国土の大半を掌握し、軍事的優位を固めていたが、11月27日に攻勢を開始した反体制派は10日余りで北部、中部の要衝を相次いで制圧。政権への包囲網は急速に狭まっている。
CNNは首都でアサド大統領の所在が分からないと報道。ロイターは欧米当局者の話として、アサド政権は近く崩壊する可能性があると伝えた。政権を支援するロシアやイランの動向が鍵を握りそうだ。
一方、シリアメディアによると、政権軍が首都防衛のために配置されており、状況は落ち着いているとしている。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、アサド氏はアラブ首長国連邦(UAE)やエジプト、ヨルダン、イラクに武器などの援助を求めたが拒否された。エジプトとヨルダンの当局者はアサド氏にシリアを離れることを促したという。
反体制派は今月2日までに北部最大都市アレッポの大半を掌握し、5日には中部の要衝ハマを制圧。反体制派を主導する過激派「シャーム解放機構(HTS)」のジャウラニ指導者はCNNのインタビューで、攻勢の目標は政権打倒だと強調していた。
政権側の後ろ盾となってきたロシアはウクライナ侵攻で足を取られ、支援を受けてきたレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラは昨年10月以降のイスラエルとの交戦で大きく戦闘力を失っている。
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