<連載 ミャンマーの声>  日本の大学生とタイにある移民学校のミャンマー人学生が、母国を象徴する風景を描いたちぎり絵を共同制作した。ちぎり絵は4月、東京・木場公園で開かれたミャンマー正月を祝う「ダジャン祭り」で披露された。3年前の軍事クーデター後、ミャンマーの若者は困難に直面しているが、交流を深め、前向きに歩んでいこうという願いが込められている。(北川成史)

東京・木場公園で4月14日に開かれた「ダジャン祭り」でちぎり絵を披露したMISのメンバーら

◆仏教遺跡と富士山を描く

 4月14日、木場公園の広場は民族料理の屋台が立ち並び、在日ミャンマー人で大盛況だった。その一角にちぎり絵が飾られ、記念撮影スポットになっていた。  絵は横約1.7メートル、縦約1.2メートル。色とりどりの折り紙を使い、「MIS」「NBS」の文字が入ったTシャツの若者たちが、ミャンマーにある世界三大仏教遺跡バガンと日本の富士山に向かって、ピースサインをする姿が描かれている。

◆避難民の苦境を肌で感じ

ちぎり絵を一緒に作ったMISの大学生とニュー・ブラッド・スクールの生徒ら=タイ北西部で(MIS提供)

 作ったのは、東南アジアの社会問題を考える日本の大学生らのNPO法人「MIS」と、タイ北西部にある「ニュー・ブラッド・スクール(NBS)」のミャンマー人学生ら。「MISタイ・ミャンマー国境チーム」のリーダーで東京大2年の福田夏菜(かな)さん(19)は「絵を通じて、日本とミャンマーの絆というメッセージを伝えたい」と話す。  チームは昨年、クーデター後に多くのミャンマー人が避難しているタイ北西部を訪れた。避難民の生徒が急増したNBSとの交流などで、ミャンマーの人々の苦境を肌で感じた。

◆関心を持ってもらいたい

 現地情勢に対する日本の人々の関心を集めようと、作りやすく、目を引くちぎり絵を思い付き、NBSに共同制作を提案。今年3月の再訪時に一緒に完成させた。アートでミャンマーの平和を訴える京都精華大の教員らの団体「WART(ワート)」からも制作上の助言を受けた。

オンラインの取材に応じるMISのメンバーら

 東京大2年河澄勇磨さん(19)は「NBSの生徒と『心のつながり』を感じる経験になった。ダジャン祭りで多くの人の目にとまり、うれしい」と喜んだ。 MISは今後、大学の学園祭やWARTのイベントで、ちぎり絵を展示していく考えだ。 

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