独裁的なアサド政権が崩壊したシリアでは15日、国連でシリア問題を担当するペデルセン特使が首都ダマスカスで暫定政権を主導する「シリア解放機構」のジャウラニ指導者と会談しました。

国連などは「シリア解放機構」をテロ組織に指定していますが、会談でジャウラニ指導者は、迅速で効果的な協力の重要性を強調したということで、国際社会のシリアへの関与が加速する中、国連などの今後の対応が焦点となっています。

一方、隣国のイスラエルはシリア国内で旧政権が保有していた兵器が敵対する勢力に渡るのを防ぐためだとして、空爆を繰り返すとともに、シリアとの間の緩衝地帯に軍の駐留を続けています。

現地の情報を収集するシリア人権監視団は15日、アサド政権の崩壊以降、イスラエル軍による空爆は453回に上ったと明らかにしています。

さらにイスラエル政府は15日、占領しているシリアのゴラン高原でイスラエル人の人口を倍増させる計画を承認したと発表しました。

ネタニヤフ首相は15日、声明で「シリアと敵対するつもりはない。実際の状況に応じて政策を決定していく」としています。

イスラエルとしてはアサド政権の崩壊による混乱の中、ゴラン高原の実効支配を強めるねらいがあるとみられ、発表を受けて、サウジアラビアやカタールなどアラブ諸国が相次いで反発する声明を出しています。

ロシア 大使館の職員の一部などモスクワに退避

ロシア外務省は15日、シリア北西部にあるロシア軍が駐留するフメイミム空軍基地から自国の大使館の職員の一部と北朝鮮とベラルーシの大使館の職員などを首都モスクワに退避させたと発表しました。

シリアの首都ダマスカスにあるロシア大使館の業務は、今後も継続されるとしています。

これに先立ってロイター通信は今月13日に撮影された衛星写真をもとにフメイミム空軍基地に駐留しているロシア軍が軍事物資の撤収を行っているとみられると伝えています。

一方で、ロシア外務省で中東問題を担当するボグダノフ外務次官は12日、シリアでのロシア軍の駐留継続に期待を示しています。

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