座礁した船の上で撮影された映像に映っていたのは、前方が海に浸かってしまった船。
その先には、船の先端とみられる部分が沈んでいるのが見て取れます。

12月15日、ロシアのタンカー2隻が悪天候のため座礁。
乗組員26人のうち1人が低体温症で死亡しました。

事故は、そうした人的被害だけではなく、最悪の環境災害を引き起こす事態へと発展しつつあります。

事故があったのは、クリミア半島南部のアゾフ海と黒海を結ぶケルチ海峡です。

座礁した2隻のタンカーからは大量の重油が流出し、ロシア南部のクラスノダール地方の沿岸まで流れ着いたのです。

タンカーには合わせて9000トンもの重油が積まれ、その3分の1にあたる3000トンが流出したとみられています。

油にまみれ、全身が真っ黒になって横たわっているのはイルカ。
油が鼻や口の中まで入り込み、ぐったりとした様子。

さらに、鳴き声を上げながら岸にうずくまる鳥。
油にまみれ、うまく羽ばたくことができず、波が押し寄せると苦しそうにバタバタともがく様子も見られます。

油を落とそうと鳥を保護しても、人間を警戒し作業は思うように進みません。

こうして重油にまみれた鳥は、19日までに176羽保護されたといいます。

重油が流れ着いたクラスノダール地方の住民:
海岸一帯が重油で汚染されている。死んだ鳥や動物が波に流されている。

ロシア当局によると、重油で汚染された海岸線は約49km。

地元住民は19日に行われたロシアのプーチン大統領との直接対話で、現地の悲惨な状況を訴えました。
これを受け、プーチン大統領も「大惨事だ」と危機感を強めています。

ロシア・プーチン大統領:
これが環境汚染であることは明らかだ。なぜこの事故を大惨事だと考えているか、それは燃料の40%が流出したからだ。

現在は当局の職員ら約6000人が重油の除去作業にあたっていますが、除去するには2年以上かかるとの見方も出ています。

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