9日、パレスチナ自治区ガザのラファ東部から避難する人たち=ゲッティ共同

【エルサレム=共同】イスラエル軍は11日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファ東部の住民に対して退避を要求した。対象は6日に初めて退避を求めた地域と隣接する地域だ。

米ニュースサイト、アクシオスによると、イスラエル戦時内閣は9日、ラファでの作戦地域拡大を承認した。軍はラファ東部で実施している限定的な地上作戦を拡大するとみられる。

戦闘休止や人質解放を巡る間接交渉の妥結の見通しが立たず、イスラム組織ハマスに対し軍事的圧力を一層強めた形。米国は本格侵攻に踏み切れば武器支援を停止すると警告しており、消息筋はアクシオスに対し、米国の「レッドライン」を越えないよう配慮していると語った。

米CNNテレビは、戦時内閣の承認で直ちに作戦が拡大されるわけではないとの見方も伝えた。

イスラエル軍はこれまでにラファから約30万人が退避したと発表した。

間接交渉は9日に終了。ハマスは10日、イスラエルの休戦案拒否で「協議が振り出しに戻った」と主張した上で、指導部が「交渉戦略の見直し」を他のパレスチナ組織と協議すると表明した。戦闘終結の明記などに関する双方の溝は埋まっていない。

国連児童基金(ユニセフ)は10日、ここ5日間ガザに燃料や人道支援物資が搬入できていないと明らかにした。人道危機がさらに深刻化する恐れがある。イスラエル軍は7日にエジプト境界にあるラファ検問所のガザ側を掌握した。

軍は11日もガザ各地を攻撃した。ガザ保健当局によると、ガザ側死者は3万4943人。

南アフリカ政府は10日、イスラエルに対し、ラファを巡り攻撃停止と撤退を命じる仮処分(暫定措置)を出すよう国際司法裁判所(ICJ)に請求した。

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