【ソウル=木下大資】通信アプリLINE(ライン)を運営するLINEヤフーに対し、総務省が韓国IT大手ネイバーとの資本関係見直しを求めたことに、韓国メディアが一斉に批判的な報道を展開している。自国企業の育てたサービスが日本に「強奪される」との受け止めが広がり、野党の一部では過去の植民地支配と重ねて日本への反感をあおる動きもある。

韓国の国旗(資料写真)

 最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表は11日、自身の交流サイト(SNS)で松本剛明総務相が伊藤博文の子孫だと指摘する報道を引用し、「韓国のサイバー領土・LINEの侵奪」などと書き込んで尹錫悦(ユンソンニョル)政権の対応が消極的だと批判した。伊藤博文は初代韓国統監を務め、韓国では否定的なイメージが強い。祖国革新党の曺国(チョグク)代表は13日、LINE問題に抗議するとして島根県竹島(韓国名・独島=トクト)を訪問した。  この問題では昨年、LINE利用者らの個人情報が不正アクセスにより流出したことが発覚。総務省はネイバーによる資本的な支配の強さがLINEヤフーの情報管理体制に影響しているとみて、今年3月と4月の行政指導を通じ資本関係を含めた見直しを求めた。  韓国メディアは保守系、革新系を問わず「日本がネイバーを追い出そうとしている」との論調で報道。韓国政府はネイバーの意思決定を尊重する姿勢を表明しており、大統領府は13日「反日を助長する政治フレームは韓国企業の保護に役立たない」と野党に苦言を呈した。  峨山(アサン)政策研究院の崔恩美(チェウンミ)研究委員は「総選挙で与党が大敗した結果、日本との懸案が生じた時に『尹政権を支持する』と言う人がいなくなっている」と先行きを憂慮する。 

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