ラファで国連職員1人が死亡

国連は、ガザ地区南部のラファで13日、国連の車両が攻撃を受けて国連職員1人が死亡したことを明らかにし、グテーレス事務総長は非難する声明を出しました。

国連の報道官によりますと、攻撃を受けた車両はラファにある病院へ向かう途中だったということで、国籍は明らかにしなかったものの死亡したのは現地で雇用されたパレスチナ人スタッフではなく国際スタッフだとしています。

去年10月に戦闘が始まって以降国連の国際スタッフが犠牲になったのは初めてだということです。

グテーレス事務総長は声明で、全面的な調査を求めるとした上で「ガザでの紛争が、民間人だけでなく人道支援スタッフにも大きな犠牲をもたらし続けている中、人道目的の即時停戦とすべての人質の解放を改めて求める」と呼びかけました。

イスラエルメディアは、車両はラファ検問所近くで銃撃され、1人が死亡し、1人が重傷を負ったとした上で状況についてイスラエル軍が調査中で、誰が銃撃したかは明らかになっていないと伝えています。

一方、イスラム組織ハマスは「イスラエルは、国連の旗とマークをつけた車に乗っていた男性と女性を銃撃した。イスラエルとアメリカがすべての責任を負っている」として、イスラエル軍による銃撃だと主張しているということです。

エジプト外相 米国務長官と電話会談

南部ラファへの攻撃について、ガザ地区と境界を接するエジプトは13日、シュクリ外相がアメリカのブリンケン国務長官と電話会談し「深刻な安全保障上のリスクで、地域の安定に対する脅威だ」として懸念を伝えるとともに、イスラエル軍が掌握しているラファ検問所から支援物資の搬入を再開させる必要性を強調しました。

また、エジプトは12日には、イスラエルの軍事作戦の停止などを求める南アフリカによる国際司法裁判所への提訴を公式に支持する考えを明らかにしました。

この中で「イスラエルに対して占領者としての義務を順守し、ガザ地区のパレスチナ人に支援物資が届くようにするとともに、いかなる人権違反もしないよう求めた」としています。

エジプトは1979年にアラブ国家として初めてイスラエルと平和条約を結び、今回もハマスとの交渉を仲介していますが、交渉が進展せず、イスラエルがラファへの攻撃を拡大させていることにいらだちを募らせているとみられます。

イスラエルメディアも、自国の安全保障にとって重要な存在となってきたエジプトのこうした動きを大きく伝えています。

イスラエル 独立記念日を前に 首相「独立戦争は続いている」

14日の独立記念日を前にエルサレムでは市民が2分間のサイレンに合わせ、建国以来の戦没者や去年10月のハマスによる大規模な奇襲攻撃などの犠牲者を追悼しました。

市内で開かれた追悼式典でネタニヤフ首相は「イスラエルの存続や自由か、それともハマスによる破壊や虐殺か、どちらかだ。われわれの独立戦争はいまも続いている」と演説し、ハマスを壊滅させ、人質全員を取り戻すと改めて強調しました。

一方、一連の式典では聴衆からやじが飛ぶ場面もあり、人質解放の見通しが立たないことなどへの不満が高まっていることもうかがえました。

こうした中、イスラエル軍はガザ地区で前日から120以上の標的を空爆したと発表したほか、南部ラファと北部ジャバリアでは激しい地上戦が続いています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。