パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍の作戦をめぐり、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は13日、ホワイトハウスで記者会見し、「ジェノサイド(集団殺害)ではない」との認識を改めて示す一方、最南部ラファで大規模な作戦を行うことは「膨大な数の市民を危険にさらす」として、「間違い」だと警告した。サリバン氏はラファで大規模な作戦を実行せずにイスラム組織ハマスを打倒する方法について、近くイスラエル側の高官と対面で協議する考えも示した。

 イスラエルのネタニヤフ首相は13日、エルサレムで演説し、昨年10月に同国を越境攻撃したイスラム組織ハマスについて「攻撃を行った者に対し、最後の一人まで復讐(ふくしゅう)を果たす」と述べ、ガザでの軍事作戦継続の意思を強調した。イスラエル軍は約150万人の避難民らが集結していたラファをはじめ、ハマスの戦闘員が戻ったと見るガザ北部や中部でも作戦を展開している。

 ガザの保健当局によると、13日から14日にかけてパレスチナ人82人が死亡した。ロイター通信によると、1日の犠牲者数としては過去数週間で最も多いという。ラファでは13日、国連の車両が攻撃を受け、国際職員1人が亡くなった。昨年10月の戦闘開始以来、国連の国際職員が犠牲になるのは初めて。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は14日、ラファから退避した人が約45万人に達したと発表した。

 一方、中断したイスラエルとハマスの間の戦闘休止と人質解放の交渉をめぐっては、仲介国カタールのムハンマド首相が14日、ドーハで開かれた経済フォーラムの場で、「行き詰まっている」とした上で、イスラエルによるラファでの作戦が「(交渉を)後退させた」と語った。ロイター通信が報じた。(ワシントン=下司佳代子、イスタンブール=根本晃)

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